旧道の両側に格子戸のある古い民家が建ち並ぶ。　留め女が見あたらないだけで、広重の版画通りの風景に息をのむ。　でも長くは続いていなくてアッという間に終わっちゃう。　右手にベルツ花夫人実家跡。　左手に高札場跡がある十字路を右折すると右手に御油宿の看板。　並びに問屋場跡。
　交通量の多いK３７４にぶつかりホントは左折するんだけど、御油松並木資料館の案内板があるので、県道を横断して音羽川沿いを進む。　資料館は残念ながら４時に閉まっているけど、入口に松の幹と切り株が展示してある。　太い。

　旧道に戻ると左手に鈴木半左衛門本陣跡。　本陣跡奥には安永元年（１７７２）創業の元大津屋、イチビキ屋の味噌工場で、旧道を挟んだ向いにデッカい樽が飾ってある。
　左手に永享年間(１４２９〜４１)創建の東林寺。　境内に飯盛女の墓。　同じく飯盛女の墓がある藤沢宿永勝寺に寄らなかった代わりに、今回は写真に撮ろうと思っていたけど、東林寺は墓を売り物にしていないので場所が分からなかった。　誰かおらの敵をとって！

　格子戸のある民家が建ち並ぶK３７４は、旧道の道幅なのに交通量が多く、民家の前には反射板の付いた車止めも建ち並ぶ。
　民家が途切れると、昭和十九年（１９４４）に国の天然記念物に指定された御油の松並木。　おかげで松根油の原料として伐採されずに済んだ。　両側の土塁も立派で、６００mの間に約３５０本の松が鬱蒼と茂っている。
　『膝栗毛』でキツネに化かされないように頑張っている弥次さんを描いているのは、豊川稲荷が近いからだと思っていたけど、御油の松並木は箱根の杉並木を彷彿とさせる立派なもので、雨の中、もう夕方なのでホントに薄暗くて、これは、出るね（笑）。　でもキツネよりもガンガン走る車の方がおっかない。

　松並木が終わると赤坂宿。　雨の中しっとりと落ち着いた佇まい。　近すぎて何か物足りない感じ…。　右手に見附跡。　左手には長保三年（１００１）に建立されたという関川神社。　思ったよりも小っちゃくてビックリ。　本殿左側に推定樹齢８００年で町指定天然記念物のクスノキ。　右側に芭蕉句碑。

　右手に問屋場跡。　はす向かいに本陣跡。　赤坂宿は今の風景からは想像できないけど、本陣が３軒あった。　案内板がないのでどの本陣なのか分からないので残念。　右手に曲げわっぱの尾崎屋。　もうここからゴールの大橋屋が見える。
　でもはす向かいの浄泉寺に立ち寄る。　境内に旅籠清須屋から移植されたソテツがあり、広重の「赤坂」で描かれたものらしい。　塀にズラッと並ぶ石像百観音は圧巻。

　１７：２５いよいよ左手に今日の終点大橋屋。　今日は雨の中よく頑張ったね。　憧れだった大橋屋に泊まるので、やっぱり記念写真でしょ。　もう薄暗くて、デジカメで撮った後にモニターで確認する度にピンボケで、納得するショットまで１５分もかかった。　その写真も自宅のパソコンで見直したらピンボケだった（泣）。
　大橋屋は周りに格子戸の民家がないのでかなり目立つ。　中に入るとすぐ土間で、黒光りした板の間と畳と半々の座敷。　子供の頃親の実家が茅葺きの民家だったので懐かしい。　雨に濡れて冷えた体も、五右衛門風呂風の円形湯船に浸かればポッカポカ。
　大橋屋は旅館業の他に割烹料理屋でもあるので料理は美味い。　メインは自然薯のとろろ汁で、とろろ汁といえば丸子宿の丁子屋では白味噌仕立てでサラサラしていたけど、大橋屋は三河国だけに赤味噌仕立てでプリプリしているので対比が面白い。　も〜腹一杯なので許して。　大満足。